クラウドサービスは日本だけではなく海外からもアクセスできるという国境を越えたサービスです。
もし新しいクラウドシステムを開発した場合、その知的財産を守るためには日本だけでは不十分です。
知的財産を守るための法律には国境があり、国外には法律は及びません。
ところがインターネットの世界には国境はありません。
せっかく開発したクラウドサービスが海外で第三者に使われても日本の法律で海外の無断使用を止めさせることはできません。
では具体的に説明しましょう。
まず、サーバが設置されている国で知的財産権を取得しましょう。
クラウドサービスを実現するプログラムが記憶されているサーバを差し押さえるためには、サーバが設置されている国で権利が必要です。
サーバが設置されている国は日本とは限りません。
地震や停電でサーバが停止することがないよう最近ではシンガポールにサーバを設置する場合があります。
次に、ユーザがいる国で知的財産権を取得しましょう。
ユーザは日本に住んでいるとは限りません。
海外から利用できるのがクラウドサービスの良いところです。
最後に、特許権だけでなく意匠権も利用しましょう。
クラウドサービスを実行するためのプログラムは特許法で保護されます。
クラウドサービスを実行するユーザインターフェースのデザインは意匠法で保護されます。
最近のシステムはユーザインターフェースを工夫してユーザの使い勝手を向上させたり、視覚的に斬新なデザインを採用して競合他社のシステムと差別化を図っています。
特許権を取得することに比べれば簡単な手続きで取得できる意匠権は、複数の国で手続きをする場合に適していると言えます。
また特許権は常に技術的な理解や言葉の解釈が問題になりますが、意匠権は外観で判断できることから、海外でトラブルが発生した場合でも、当事者の意見の食い違いが少ないというメリットがあります。
今後ますます増えていくクラウドサービス、日本だけではなく海外での知的財産も活用して競合他社とのトラブルを防ぎましょう。