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特許権や商標権が侵害されたら司法よりも行政を利用するべき理由

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特許権や商標権の侵害を審理する裁判所は、まず権利侵害の有無を審理し、侵害の心証を得た場合に損害の有無を審理するという二段階審理方式を採用します。

標準的な侵害論の審理は、原告が訴状を陳述し、被告が答弁書を陳述して第1回目の口頭弁論が終了します。

第1回口頭弁論が終了した後、5回程度の弁論準備手続を行うことを想定しています。

単純に各期日の間隔が1月と仮定すると、侵害論の審理だけで最低半年を要することになります(実際には代理人の期日の調整や専門委員が介入するため、1年程度は最低必要です)。

侵害の心証を得て、次に損害論の審理に入ります。
原告主張の損害額について、当然に被告が認否反論するので、原告の反論及び被告の再反論のための期日が数回設けられます。

裁判所が最終的な損害額について心証を形成するまでに、また1年程度がかかるわけです。

侵害論及びこれに続く損害論を審理し弁論準備手続を終結したあと、判決言渡しではなく、場合によっては和解が勧告される場合もあります。

権利侵害を司法に委ねると第一審だけで3年、4年という時間は避けて通れません。
控訴すればさらに時間が必要です。

これだけの時間と労力が必要な司法解決は原告である権利者にとっても酷であると言わざるを得ません。
日本では損害額の認定は実損の範囲に限るため、相手方に故意や悪意があるような場合でも米国のような懲罰賠償を求めることはできません。

損害賠償を求める代わりに差止めのみを求める場合もありますが、その場合でも侵害論の審理は必要です。

翻って行政による水際制度を利用すれば侵害論の審理に相当する認定手続は1回だけです。

侵害・非侵害の心証を得るまでに数年を要していた司法に比べ、税関の輸入差止めを利用すれば認定手続開始から1ヶ月以内に侵害該否が判断されます。

日本国内で流通する多くの製品が海外で製造されている現在、権利侵害品を税関で阻止することが最も直接的かつ効果的な手段であると言えます。

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このコラムを書いている人

TANAKA Tomio

TANAKA Tomio

2004年弁理士登録 電機・電子・IT分野を得意とし国内・国外の権利化について豊富な経験と実績あり。 中国上海駐在経験を活かし中国実務についても豊富な経験あり。 知的財産調査官として特許を始め意匠・商標・著作権・不正競争防止に係る模倣品の輸入差止め審査に従事した経験を活かし模倣品対策についても積極的に取り組む。

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